パレット輸送とは?仕組みやメリット・デメリット、注意点を解説

「荷物の積み込みや荷下ろしに時間がかかる」「大量の荷物をまとめて効率よく運びたい」「パレット輸送を検討しているものの、どのような設備や準備が必要なのかわからない」と悩んでいないでしょうか。パレット輸送は、複数の荷物をパレットにまとめ、フォークリフトなどを使ってパレット単位で取り扱う輸送方法です。荷役作業の効率化につながる一方、納品先の設備や空パレットの管理など、事前に考えておきたい点もあります。

今回の記事では、パレット輸送の仕組みや標準的なサイズ、主なパレットの種類、メリット・デメリット、利用前に押さえておきたい注意点を解説します。料金を左右する条件やパレット輸送に向いている荷物についても取り上げるため、自社の輸送方法を見直したい方はぜひ参考にしてください。

パレット輸送とは

パレット輸送とは、複数の貨物をパレットと呼ばれる荷台にまとめ、パレット単位で保管・荷役・輸送する方法です。荷物を1個ずつ積み替える回数を減らしやすく、物流現場の作業効率向上にもつながります。まずは基本的な仕組みと、標準的なサイズ、向いている荷物について見ていきましょう。

パレット輸送の仕組み

パレット輸送では、段ボールや袋物などの貨物をパレット上にまとめ、必要に応じて固定した状態で取り扱います。フォークリフトなどを使用してパレットごと持ち上げ、トラックへの積み込みや倉庫内での移動、納品先での荷下ろしを行うのが基本的な流れです。

バラ積みでは貨物を1個ずつ持ち運ぶ場面がありますが、パレット輸送なら複数の荷物を一つの単位として動かせます。そのため、貨物を直接取り扱う回数を減らしやすく、荷役作業の効率化にもつながります。

ただし、集荷先から納品先まで同じパレットのまま輸送できるとは限りません。利用する運送会社や納品条件によっては途中で積み替えが発生する場合もあるため、輸送工程を事前に確認しておくことが大切です。

標準的なパレットサイズ

国内ではさまざまなサイズのパレットが使われています。国土交通省が2024年6月に公表した「パレット標準化推進分科会 最終とりまとめ」では、標準仕様パレットの平面サイズを1100mm×1100mmとしています。一般に「T11型」と呼ばれるサイズです。

項目標準仕様の内容
平面サイズ1100mm×1100mm
呼称T11型
高さ144~150mm
最大積載質量1t

パレットを標準化すると、輸送や保管の途中で別のパレットへ積み替える作業を減らしやすくなります。一方、業種や貨物の特性によっては別サイズの方が適している場合もあるため、すべての貨物にT11型を当てはめる必要はありません。

パレット輸送に向いている荷物

パレット輸送は、同じ形状・サイズの荷物を一定量まとめて運ぶ場合に向いています。段ボール箱や袋物など、パレット上に安定して積み付けやすい貨物が代表的です。

また、輸送途中で何度も手作業による積み替えを行うと傷やへこみが生じやすい商品も、パレット単位で取り扱うことで貨物へ直接触れる回数を減らしやすくなります。

一方、一般的な平パレットから大きくはみ出す長尺物や、形状が不規則で安定した積み付けが難しい貨物では、標準的なパレット輸送が適さない場合があります。専用サイズのパレットを使用できるケースもあるため、貨物の寸法・重量・形状・輸送量を踏まえて判断しましょう。

パレット輸送で使われる主なパレット

パレットには、形状や材質によってさまざまな種類があります。一般的な平パレットだけでなく、側面を囲ったタイプや車輪付きのタイプもあり、用途は同じではありません。貨物の形状や保管方法、荷役設備などに合わせて選ぶことが、安定した輸送につながります。

平パレット

平パレットは、上部に囲いなどを持たない代表的なパレットです。フォークリフトのフォークを差し込める構造になっており、段ボール箱や袋物など幅広い貨物の保管・運搬に利用されています。

構造が比較的シンプルで、倉庫での保管からトラックへの積み込みまで、同じパレット単位で扱いやすい点が特徴です。T11型も平パレットの一つにあたります。

物流現場では広く利用されていますが、耐荷重やフォークの差込方向などは製品によって異なります。使用するフォークリフトや保管設備との組み合わせを踏まえて選ぶ必要があります。

ボックスパレット

ボックスパレットは、底面だけでなく側面にも囲いを設けた箱型のパレットです。金属製の網や枠を使用したタイプなどがあり、単体では積み重ねにくい部品や不定形の貨物をまとめて扱う際に利用されます。

側面が設けられているため、細かな貨物や袋物などが外へこぼれ落ちにくく、保管と運搬を同じ容器で行いやすい点が特徴です。

一方、囲いのある構造によって平パレットより重量や容積が大きくなる場合があります。空の状態でも一定の保管スペースが必要になるため、使用頻度や保管方法まで含めて選ぶとよいでしょう。

ロールボックスパレット

ロールボックスパレットは、車輪を備えたボックス型のパレットです。側面に柵が設けられているものが多く、人の手で押して移動できるため、構内搬送や店舗への納品などで利用されています。

貨物を載せたまま移動させやすく、フォークリフトを使用せずに荷役できる場面があるのが特徴です。配送先までロールボックスパレットのまま輸送し、納品時の荷役に使用する運用もあります。

ただし、傾斜や段差のある場所では転倒や逸走の危険があります。貨物の積み方に偏りが出ないようにするとともに、使用中・保管中とも安全に扱える環境を整える必要があります。

パレットの材質による違い

代表的な材質には、木製やプラスチック製などがあります。木製パレットは幅広い物流現場で利用されており、破損箇所によっては補修しながら使用できるものもあります。一方、使用する木材や状態によって重量や品質に差が出る場合があります。

プラスチック製パレットは、寸法や品質をそろえやすく、水分を吸いにくい点が特徴です。洗浄しやすいため、衛生管理を重視する現場で採用されることもあります。

材質によって重量、耐久性、価格、管理のしやすさなどが異なります。どちらが優れていると一概に決めず、貨物や使用環境、回収・再利用の方法に合わせて選ぶことが重要です。

パレット輸送のメリット

パレット輸送の大きな特徴は、複数の貨物を一つの単位として扱えることです。荷役作業の回数や人力での運搬を減らしやすく、倉庫内でもパレット単位で貨物を管理できます。輸送だけでなく、保管や入出庫まで同じ単位で扱えると、物流工程全体の効率化にもつながります。

荷役作業時間の短縮

バラ積みでは、段ボール箱や袋物などを1個ずつ持ち運び、トラックへ積み込む必要があります。パレット輸送であれば、複数の貨物をまとめてフォークリフトなどで動かせるため、積み込み・荷下ろしの作業回数を減らしやすくなります。

荷役時間を短縮できれば、車両が荷役場所に滞在する時間の削減にもつながります。特に同じ規格の貨物を一定量まとめて取り扱う場合は、パレット単位で荷役する効果を得やすいでしょう。

ただし、途中でパレットから貨物を下ろして積み替える工程があれば、十分な効果を得られない場合があります。輸送工程全体でパレット化できるかがポイントです。

作業者の身体的負担の軽減

貨物を1個ずつ持ち上げて運ぶ作業を減らせることも、パレット輸送のメリットです。フォークリフトなどの荷役機械を利用することで、大量の貨物や重量物を人力だけで移動させる場面を減らせます。

特に積み込み・荷下ろしを繰り返す現場では、人が貨物を持ち上げる回数を減らすことで、身体的な負担を軽減しやすくなります。

ただし、パレットへの積み付けや荷崩れ防止など、手作業が必要な工程までなくなるわけではありません。どの作業を機械化できるのかを踏まえて運用を考える必要があります。

貨物の破損リスクの低減

パレット輸送では、パレット上にまとめた貨物を一つの単位として移動させられます。輸送途中で貨物を1個ずつ持ち替える回数を減らしやすいため、手荷役の際にぶつけたり落としたりする機会を抑えられる点がメリットです。

特に複数の物流拠点を経由する輸送では、積み替え回数が増えるほど貨物を直接取り扱う場面も多くなります。同じパレットのまま輸送できれば、貨物への接触を減らしやすくなります。

ただし、パレット輸送自体が破損を完全に防ぐものではありません。安定した積み付けや固定など、貨物に合った荷姿を整える必要があります。

保管・在庫管理の効率化

パレット単位で保管すれば、倉庫内でも一定の単位で貨物を取り扱いやすくなります。入庫から保管、出庫まで同じパレットで運用できれば、途中で積み替える工程も減らせます。

また、保管場所をパレット単位で設定することで、「どこに何パレット保管しているか」といった管理を行いやすくなります。パレットラックなどの設備と組み合わせれば、高さを活用した保管が可能になる場合もあります。

ただし、パレットサイズが複数混在すると、保管設備との組み合わせが複雑になることもあります。倉庫内で使用する規格をそろえることも、効率的な運用を考えるうえで重要です。

パレット輸送のデメリット

パレット輸送には多くのメリットがありますが、設備やスペース、パレットそのものの管理が必要になります。また、貨物だけでなくパレット自体も車両へ積載するため、バラ積みとは輸送条件が異なります。導入後に想定外の負担が生じないよう、あらかじめデメリットも押さえておきましょう。

荷役設備・作業スペースの確保

平パレットを利用する場合、積み込みや荷下ろしにはフォークリフトなどの荷役設備が必要になることがあります。また、フォークリフトを安全に走行・旋回させるためには、一定の作業スペースも必要です。

荷役設備を利用できない場所では、人の手で貨物をパレットから下ろすなど、別の作業が発生する場合があります。その結果、パレット輸送によって期待していた荷役時間の短縮効果を得にくくなることもあります。

新たに導入する場合は、パレットそのものだけでなく、取り扱うための設備やスペースも必要になる点を考慮しておきましょう。

空パレットの保管・管理負担

貨物を下ろした後には空のパレットが残ります。自社所有のパレットであれば、次に使用するまで保管場所が必要になり、数量が増えるほど必要なスペースも大きくなります。

また、パレットは繰り返し使用する物流資材のため、破損や紛失がないか管理する必要があります。複数の拠点や取引先をまたいで運用すると、どこに何枚あるのか分かりにくくなるケースもあります。

輸送が完了した後も保管や所在管理が必要になることは、パレット輸送を導入する際に考えておきたい負担の一つです。

パレット分の重量・容積

パレット輸送では、貨物だけでなくパレット自体も車両へ積載します。そのため、バラ積みの場合と比べて、パレット分の重量や高さ、床面積が加わります。

貨物の量や荷姿によっては、車両の最大積載量や荷室寸法との関係から、積める貨物量が変わることがあります。また、使用するパレットの高さによっては、貨物を積み重ねられる高さにも影響します。

パレットを使用すれば必ず積載効率が向上するわけではありません。車両や貨物の条件を踏まえ、パレット化した場合の積載量を確認することが必要です。

パレット輸送を利用する際の注意点

パレット輸送を円滑に行うには、貨物をパレットに載せるだけでは不十分です。パレットの選び方や積み付け、集荷先・納品先の設備、回収方法などを事前に決めておく必要があります。輸送を依頼してから条件が合わないことが判明しないよう、実務上の確認事項を押さえておきましょう。

荷物に合ったパレットの選定

パレットを選ぶ際は、貨物の寸法・重量・形状に合っているかを確認します。貨物がパレットから大きくはみ出すと、周囲との接触や荷崩れのリスクが高まる場合があります。

一方、貨物に対してパレットが大きすぎれば、パレット上に空きスペースが増え、保管や輸送の効率が下がることもあります。

サイズだけでなく、耐荷重や材質、フォークリフトの差込方向なども選定条件です。使用する車両や倉庫設備、納品先での荷役方法まで含め、輸送工程全体で扱いやすいパレットを選びましょう。

荷崩れを防ぐ積み付け・固定

パレット上の貨物は、輸送中の振動やブレーキ、カーブなどによって動く可能性があります。貨物の重量・形状・強度を踏まえ、重心が一方向へ偏らないよう安定した状態で積み付けることが重要です。

必要に応じてストレッチフィルムやバンド、滑り止め資材などを使用し、輸送中に貨物が動かないよう固定します。

ただし、適切な固定方法は商品によって異なります。箱の強度が低い商品や積み重ねに制限がある商品もあるため、高さや積載量だけを優先せず、輸送中の安定性を考えた荷姿にすることが大切です。

集荷先・納品先の荷役環境

自社側でパレット荷役ができても、納品先に必要な設備がなければ、パレット単位で荷下ろしできないことがあります。集荷先と納品先の双方で、どのような方法で積み込み・荷下ろしを行うのか事前に確認しておきましょう。

フォークリフトの有無だけでなく、車両を停められる場所、荷役スペース、床面の状態、フォークリフトが進入できる範囲なども確認したい項目です。

納品時にパレットのまま受け取れない場合は、手荷役や積み替えが必要になることもあります。輸送方法を決める段階で、集荷から納品までの荷役条件をすり合わせておくと円滑です。

パレットの回収・返却方法

自社所有のパレットを納品先まで使用する場合は、荷下ろし後のパレットをどのように回収するか決めておく必要があります。輸送のたびに回収する方法もあれば、一定数をまとめて返却してもらう運用も考えられます。

回収方法が決まっていないと、納品先に空パレットが滞留したり、自社で使用するパレットが不足したりする可能性があります。

自社で所有する以外に、レンタルパレットや共同利用の仕組みを活用する方法もあります。所有・レンタルのどちらを選ぶ場合も、返却先や回収時期、紛失・破損時の取り扱いを事前に決めておくと運用しやすくなります。

輸送料金・付帯作業の条件

パレット輸送の料金は、輸送距離だけで決まるとは限りません。貨物の重量・容積、パレット数、使用する車両、集荷・納品条件などによって変わります。

また、パレットの積み替えや手作業による荷下ろし、待機、パレットの回収・返送などが発生する場合は、運送会社や契約条件によって別途費用がかかることもあります。

見積もりを依頼する際は、貨物情報だけでなく、パレットサイズや枚数、集荷先・納品先の荷役設備、回収の有無まで伝えておきましょう。料金だけで比較せず、どこまでの作業が見積もりに含まれているかを確認することが大切です。

まとめ | パレット輸送の特徴を踏まえて輸送方法を選ぼう

パレット輸送は、複数の貨物をパレットにまとめ、フォークリフトなどを使ってパレット単位で取り扱う輸送方法です。荷役時間や作業者の身体的負担を減らしやすく、貨物への直接的な接触回数も抑えられる一方、荷役設備や作業スペース、空パレットの管理が必要になります。

利用する際は、貨物に合ったパレットを選び、輸送中に荷崩れしないよう適切な積み付け・固定を行うことが重要です。集荷先・納品先の荷役環境やパレットの回収方法、付帯作業を含む料金条件も事前に確認しておきましょう。

当社では、貨物や配送条件に合わせた輸送のご相談を承っています。パレット輸送を含め、荷物に適した輸送方法や物流体制をご検討の際は、お気軽に八大へご相談ください。