先入れ先出しとは?意味や正しい手順、メリット・デメリットを解説

倉庫で在庫を管理しているものの、「古い商品が棚の奥に残ってしまう」「期限切れや品質劣化による廃棄を減らしたい」「先入れ先出しを徹底したいが、現場の作業が煩雑になっている」といった悩みはないでしょうか。先入れ先出しは、先に入庫した商品から優先して出庫する在庫管理の基本的な方法で、食品など期限や品質の管理が重要な商品を扱う現場では特に重要です。

一方、入庫日やロットの記録、保管場所、作業ルールが曖昧なままでは、先入れ先出しを安定して続けることは難しくなります。今回の記事では、先入れ先出しの意味や後入れ先出しとの違い、メリット・デメリット、正しい手順、効率よく運用するためのポイントを解説します。倉庫での在庫管理や商品の品質維持を見直したい方は、ぜひ参考にしてください。

先入れ先出しとは

先入れ先出しは、倉庫や店舗に保管している在庫を適切な順番で動かすための管理方法です。単に古い商品から取り出すだけではなく、入庫時の情報管理や保管場所、出庫時の判断まで一定のルールを設ける必要があります。まずは基本的な意味と、混同しやすい後入れ先出しとの違いを見ていきましょう。

FIFOの意味と基本的な考え方

先入れ先出しとは、先に入庫した商品や原材料から順番に出庫・使用していく在庫管理の方法です。英語では「First In, First Out」と表され、頭文字を取ってFIFOとも呼ばれます。

たとえば、同じ商品が4月1日と4月10日に入庫した場合、基本的には4月1日に入庫した在庫を先に出庫します。古い在庫が倉庫内に長期間残り続ける状態を避けやすいため、保管期間が品質や販売可能期間に影響する商品との相性がよい方法です。

なお、会計上にも「先入先出法」という棚卸資産の評価方法があります。ただし、会計上の先入先出法は棚卸資産の原価を計算するための考え方であり、物流現場で実際の商品を古い順に出庫する運用とは目的が異なります。

物流現場で先入れ先出しを行う場合は、在庫データだけではなく、実際の商品と入庫情報を一致させて管理することが重要です。

後入れ先出しとの違い

後入れ先出しは、後から入庫した商品を先に出庫する方法です。先入れ後出しと呼ばれる場合もあり、英語では「Last In, First Out」の頭文字を取ってLIFOと表されます。

先入れ先出しと後入れ先出しの大きな違いは、どの時点で入庫した商品を優先して出庫するかという点です。

項目先入れ先出し後入れ先出し
出庫する順番先に入庫した商品から出庫する後から入庫した商品から出庫する
英語表記FIFOLIFO
特徴古い在庫の滞留を防ぎやすい保管方法によっては出庫作業を単純化しやすい

後入れ先出しでは、保管設備や荷姿によっては新しく入庫した商品をそのまま取り出しやすい場合があります。一方で、古い在庫が奥に残り続ける可能性があるため、期限や品質変化を考慮する必要がある商品では注意が必要です。

どちらを採用するかは、商品特性や保管設備、出庫頻度などによって異なります。作業のしやすさだけでなく、商品の品質や在庫の滞留リスクも踏まえて管理方法を選ぶことが大切です。

先入れ先出しが向いている商品

先入れ先出しは、保管期間が長くなることで品質や商品価値に影響が出やすい商品に適しています。代表的なのは、賞味期限や消費期限が設定されている食品・飲料です。古い在庫から計画的に出庫することで、期限の近い商品だけが倉庫内に残る状態を防ぎやすくなります。

また、製造日やロット単位で管理する原材料・部品などでも、入庫順を意識した管理が必要になる場合があります。

ただし、使用期限が設定されている商品では、必ずしも入庫日の古い順が最優先になるとは限りません。たとえば医薬品などでは、使用期限が近いものから先に出庫するFEFO(First Expiry, First Out)による管理が用いられることがあります。

すべての商品を同じ方法で管理するのではなく、期限や品質変化、ロット管理の必要性、出庫頻度などを踏まえ、商品特性に合った管理方法を選ぶことが重要です。

先入れ先出しのメリット・デメリット

先入れ先出しには、在庫の長期滞留を防ぎやすいというメリットがある一方、管理情報や現場作業が増える場合があります。導入を検討する際は、品質管理だけでなく、倉庫内で無理なく継続できるかという視点も欠かせません。メリットとデメリットを分けて確認していきます。

品質劣化・期限切れの防止

先入れ先出しのメリットは、保管期間が長くなる在庫を減らし、品質劣化や期限切れを防ぎやすくなることです。

新しい商品ばかりを先に出庫していると、古い在庫が棚の奥に残り、気付いたときには販売や使用が難しくなっている可能性があります。先に入庫した在庫から順番に出庫するルールを設ければ、特定の商品だけが長期間保管される状態を避けやすくなります。

特に食品や飲料など、時間の経過によって販売可能期間が短くなる商品では、入庫日を意識した出庫管理が重要です。

ただし、入庫日だけで判断すればよいとは限りません。同じ商品でも賞味期限や使用期限が異なる場合があるため、商品特性に応じて期限情報も合わせて管理する必要があります。

廃棄ロス・滞留在庫の削減

古い商品から計画的に出庫することで、倉庫内に長期間動かない在庫が残り続ける状態を防ぎやすくなります。滞留在庫が増えると、保管スペースを圧迫するだけでなく、棚卸しや在庫確認にかかる負担も大きくなります。

期限や品質の問題によって販売・使用できなくなれば、商品そのものの損失に加え、保管や廃棄にも費用や作業が発生します。そのため、古い在庫を適切に動かすことは、廃棄ロスの抑制にもつながります。

また、入庫時期やロットごとに在庫が管理されていれば、長期間動いていない商品にも気付きやすくなります。滞留している在庫を早めに把握できれば、販売方法や今後の在庫量を見直すきっかけにもなるでしょう。

管理データの増加

先入れ先出しを正確に行うためには、商品名や数量だけでなく、入庫日、製造日、期限、ロット番号などを管理する必要が生じる場合があります。

特に同じ商品を複数のロットで保管している倉庫では、「在庫が何個あるか」だけでは十分ではありません。どの時期に入庫した商品が何個あり、どこに保管されているのかまで把握する必要があります。

管理項目が増えるほど入力や更新にかかる作業も増え、記録に誤りがあれば正しい出庫順を判断しにくくなります。

そのため、すべての商品に同じ管理項目を設定するのではなく、期限やロット管理の必要性などを踏まえて、必要な情報を決めることが大切です。

入出庫作業の工数増加

先入れ先出しでは、入庫順を考えずに商品を空いている場所へ保管する方法と比べて、作業工程が増えることがあります。

たとえば、入庫時には既存在庫との順番を踏まえて保管場所を決め、出庫時には対象となるロットや入庫日を確認する必要があります。商品数や入出庫回数が多い倉庫ほど、こうした確認作業が積み重なり、現場の負担になりやすいでしょう。

先入れ先出しを厳密にするほどよいとは限りません。品質管理によって得られる効果と作業時間のバランスを考え、商品特性や倉庫の規模に合った運用方法を設計することが重要です。

先入れ先出しの正しい手順

先入れ先出しを安定して続けるには、入庫から出庫までの流れを明確にし、担当者によって判断が変わらない状態をつくることが重要です。基本となるのは「必要な情報を記録する」「入庫順に保管する」「古い在庫から出庫する」という流れです。それぞれの工程で押さえたいポイントを見ていきましょう。

入庫日・期限・ロット情報の記録

商品が入庫したら、先入れ先出しの判断に必要となる情報を記録します。基本となるのは入庫日ですが、商品の種類によっては製造日、賞味期限・消費期限、使用期限、ロット番号なども必要です。

重要なのは、何を記録するかを商品ごとに決め、担当者によって記録内容が変わらないようにすることです。「担当者Aは入庫日まで記録する」「担当者Bは期限も記録する」といった状態では、出庫時の判断基準が揃いません。

紙の台帳や表計算ソフトを利用する場合でも、入力する項目や表記方法を統一しておくと管理しやすくなります。

WMSなどを利用している場合も、システム内の情報と実際の商品が一致していることが前提です。入庫時の記録を正確に行うことが、その後の保管・出庫を適切に進める土台になります。

入庫順に応じた保管場所の設定

必要な情報を記録した後は、先に入庫した商品を取り出しやすい状態で保管します。

新しく入庫した商品が常に取り出しやすい位置に置かれていると、作業者は新しい在庫からピッキングしやすくなり、先入れ先出しが崩れる可能性があります。そのため、古い商品を先に取り出せる棚の使い方や保管ルールを決めておくことが大切です。

棚を使用する場合は、商品の補充側と取り出し側を分ける方法や、入庫日・ロットごとに保管場所を区切る方法などがあります。パレット単位で管理する場合も、複数のロットが混在して分かりにくくならないようにすると作業しやすくなります。

一方、在庫を頻繁に移動すると作業時間が増えてしまいます。商品の回転頻度や入荷量も踏まえ、なるべく少ない移動で出庫順を維持できる保管方法を考えましょう。

古い在庫からのピッキング・出庫

出庫指示が出たら、決められた基準に沿って優先順位の高い在庫からピッキングします。

保管レイアウトや管理方法によっては、手前にある商品を取るだけでは先入れ先出しを維持できません。入庫日やロット、期限など、出庫対象を判断するために必要な情報を作業者が確認できる状態にしておく必要があります。

一方、古い在庫が常に取り出し側へ来るように設計された棚などを使用している場合は、保管設備そのものによって出庫順を管理しやすくなることもあります。

ピッキング後は、実際に出庫した商品や数量を記録し、在庫情報へ反映します。入庫、保管、ピッキング、出庫をそれぞれ別の作業として扱うのではなく、一連の在庫管理としてつなげることがポイントです。

先入れ先出しを効率よく運用するポイント

先入れ先出しの手順を決めても、現場で無理なく続けられなければ安定した運用にはつながりません。特に商品数や作業者が多い倉庫では、担当者が変わっても同じ判断ができる仕組みづくりが必要です。表示方法や作業ルール、システムなどを現場に合わせて取り入れ、管理精度と作業効率のバランスを取りましょう。

入庫日・期限を見分けやすい表示

入庫日や期限を記録していても、その情報が台帳やシステムの中にしかなく、現物を見ただけでは判断できない状態では、ピッキングのたびに確認作業が必要になります。

ラベルやシールなどを活用し、入庫日、期限、ロット番号といった必要な情報を商品や保管場所から確認できるようにすると、出庫対象を判断しやすくなります。

商品そのものに表示することが難しい場合は、棚札やパレット単位で情報を示す方法も考えられます。色分けを行う場合も、色だけで判断するのではなく、日付やロット番号などの情報と組み合わせると誤認を防ぎやすくなります。

表示方法を複雑にしすぎず、新しく入った作業者でも迷いにくい形に統一することが大切です。

作業ルールの標準化とスタッフ教育

先入れ先出しが崩れる原因の一つに、担当者ごとの作業方法の違いがあります。忙しいときだけ空いている棚へ商品を置いたり、取り出しやすい在庫から出庫したりする運用が続くと、入庫順を維持することが難しくなります。

入庫時に記録する情報、商品を保管する場所、出庫対象を選ぶ基準、例外が生じた場合の対応などをルールとして明文化しておくと、作業者による判断の違いを減らせます。

棚の使い方や商品の置き方は、文章だけでなく写真や図を用いて示すのも一つの方法です。新人や応援スタッフにも同じルールを共有しやすくなります。

また、一度決めたルールをそのまま使い続けるのではなく、現場で守りにくい工程がないか定期的に見直すことも大切です。

WMS・在庫管理システムの活用

商品数やロット数が増えると、紙や表計算ソフトによる管理では、入庫日・期限・保管場所を確認する負担が大きくなる場合があります。こうした倉庫では、WMS(倉庫管理システム)や在庫管理システムの活用も選択肢の一つです。

ロットや期限の管理に対応したWMSであれば、入庫時に登録した情報をもとに在庫を管理し、出庫対象の商品や保管場所を作業者へ示せる場合があります。人の記憶だけに頼らず、一定の基準でピッキングしやすくなる点がメリットです。

ただし、利用できる機能はWMSによって異なります。また、システムを導入しただけで先入れ先出しが自動的に定着するわけではありません。

現物の置き方やデータ入力のルールが曖昧なままでは、正しい在庫情報を活用しにくくなります。導入前に現在の課題を洗い出し、必要なロット管理・期限管理・出庫指示などの機能が備わっているか確認しましょう。

まとめ | 先入れ先出しで適切な在庫管理につなげよう

先入れ先出しは、先に入庫した商品から優先して出庫する在庫管理の方法です。古い在庫の長期滞留を防ぎ、品質劣化や期限切れ、廃棄ロスを抑えやすくなる一方で、入庫日やロットなどの管理情報が増え、入出庫作業の負担が大きくなる場合もあります。

安定して運用するには、必要な情報を正確に記録し、古い在庫を取り出しやすい状態で保管したうえで、出庫まで同じルールを徹底することが大切です。商品によっては期限を優先した管理が適している場合もあるため、商品の特性に合わせて運用方法を決めましょう。

八大では、商品の保管だけでなく、発送指示に応じたピッキング・梱包・発送、自社車両による配送まで一貫して対応しています。在庫保管や倉庫業務の効率化、物流体制の見直しをご検討の際は、ぜひ八大へご相談ください。